子どもの支援者さん方と話すなかで、保護者の方にちょっと立ち止まってほしいなと思うことがあります。その『便利』が、子どもの将来的な成長にかえって『不便』をもたらすリスクを感じるからです。急にやめる必要はありません。でも立ち止まって考えてほしい。『自然な成長』からお伝えします。
私の幼少期は、歩行器という便利グッズが流行った時代でした。

母、「便利だった」そうです。私が歩くのも早くて、それは一見、成長が早いと喜ばしい発達のように思えたそうですが、どこかで、歩行器の利用が股関節の発達を鍛えないと聞いたらしく、「後悔した」とのことでした。
この因果関係はわかりませんが、私は股関節が弱くて、ジャンプが苦手、腰も痛めやすいです。体の使い方はへたくそです。
私には子どもが二人います(年齢と性別は公表していません)。
上の子はほぼワンオペ育児で、かつ産後の回復が遅れたので、毎日ヘロヘロでした。
当時を思い出すと、首がすわったあと、縦の世界に興味を持ち始めた頃から数か月がとても大変でした。
ちょうど母が歩行器を使っていた時期と同じです。
座りたいけど座れない。→泣く。私一人。私が泣きたい。
だから、便利グッズのありがたみは、親の立場ですごく理解できます。
特に、その便利グッズを使うことで、泣かれないこと、自分がほっとできること、時には自分の時間を作れること。
上の子は私が視界にいないだけでも泣いたので、便利グッズは私と同じようなお母さんの味方だとも思います。
が
何事も用法容量守っての使用なんですよね。
例えば、子どもが頭をぶつけても痛くないように、頭に着けるクッションは、アマゾンプライムのCMにも取り上げられました。
親心として、子どもに痛い思いをさせたくない気持ちにアマゾンはすぐにお応えしますという、メッセージだと思うのですが、
ヒト(人間)は、快だけでは成長できません。不快、痛いという感覚も学びながら成長することが、健全な発達につながります。
痛みを繰り返すことで、痛くないようにするにはどうしたら良いかを学びます。
もし、転んで頭に深刻な後遺症が起きないかと心配されるなら、転んでも大丈夫な環境にすることがまず先になります。
たとえば、クッション材としてお布団を敷きっぱなしにする。←ハウスダストアレルギーがある場合は、別の工夫が必要です。
あるいは、不要なものを片付ける。
。。。。面倒ですよねぇ(笑)。
でも保護者のこのような配慮が、子どもの発達にも効果があり、ケガになりにくい子どもになるなら、先行投資としては価値があると思います。
※また、片付けを一緒にしてくれる方もおられます。産後の大変さを誰か一人で抱えることがないように、いろいろなサービスを利用するのは、保護者のためだけでなく子どもにも良い影響がくると思っています。
ベビーチェアは股関節を固定しないものを
あえてメーカーさんは出しませんが、ベビーチェアで赤ちゃんを安定させるために、がっちり骨盤をホールドするタイプがありますね。
ごめんなさい、原則これはおすすめしません。
どうしても使いたい場合は、例えば食事の時だけとか、ごく限られた時間のみをお勧めします。
筋肉は全身がつながっています。
足首を固定しただけで、首がうまく回らなくなるくらい、全身が連動しています。
一か所を固定したら、全身に影響がでます。
赤ちゃんや子どもは、これから使い方を学ぶ時期です。
観察者としてお伝えすると、プロのアスリートやダンサーさんなどは、全身の筋肉をうまく連動して使っています。
これを体得するには日常の使い方が大事で、スポーツ教室やレッスンだけでは身に着けられません。
また、心と身体のつながりから考えても、この時期に長時間骨盤を固定することは、メリットがあまり感じられません。
というのは東洋医学や整体の知識としては、骨盤の血流と頭の血流は連動していて、骨盤が固定されると血流が落ちるからです。
東洋医学的には、うつ病(産後うつ含む)、統合失調症、発達障害を、脳の血流障害として扱う側面があります。
予防や対策として骨盤を柔軟に保つことや、動きを改善することは合理的ですし、心を軽くする方法としても有効です。
親は子どもがいくつになっても親ですから、子どもに何かあれば心配もするし、不安にもなります。
私の親が歩行器で後悔したように、あ、後悔する必要はないのですが、
便利グッズを利用することで、
どのような恩恵があって、デメリットを回避するにはどうしたら良いかと考えることは、
将来、不安思考がぐるぐ回るよりは、保護者のからだにも優しいと思っています。
育児はひとの手をかりるのが当たり前
ヒトは、集団で生活して文明を発展させてきたので、一人で何かできる生き物ではないと思っています。
核家族になって少子化が進んで、子育てが孤育てになるなかで、しかも「協調して何かをなす」ことよりも個の競争力を上げる教育を受けてきた者として、
一人でできるようにはどうしたら良いかを、真っ先に考えますし、頼ることが下手です。
頼る=負けというプライドもあるし、何より断れた時に悲しいし、相手との関係性も悪化させたくない。
でも、生き物としてみたとき、一人だけ、あるいは家族だけでの育児はやはり不自然です。
ここまでを考えないと、育児グッズが単に身体に影響がくるから駄目だよと伝えただけでは、かえって保護者の罪悪感を増す情報になります。
だから、使うなではなく。
使おう。でも、その背景にある問題もみようね。頼ろう。そしてみんな手を差し伸べようね。
と、伝えていきたいと思います。
私のからだは、歩行器を使ったから運動神経が悪いのか(笑)、きっと複合的です。
かみ合わせも悪いし、考えるのも好きなので、脳の血流は悪くなりやすいです。
でも、人生これからです。十年後動画でダンスのブームを起こしている自分を想像してもいます(笑)。
五十嵐 いつえ