アートの感じ方を磨くと、人の特性を多様性として評価できる人が増える気がします。

 昨年の12月。朝起きたてで号泣した日が何日かありました(笑)。それは1冊の本に出会ったからです。

「生きていていいんだ」
「こんな私でも生きていていいんだ」

 自分でもちょっと頭がおかしいのではと思ったのですが、それほどに励まされたのがプレジデント社さんの『アート思考』でした。

 この本は、プレジデント社さんだけに「アートはビジネスに役立つのか」という切り口で書かれています。ですが、それでは泣けません。

 私が心を打たれたのは、筆者の秋元さんが「人はアートのどのような部分に共感するのか」という視点で書いてくださっている部分です。それらは「アート思考」と表現されています。私にはその思考が「AI時代でも人間にしか備わっていない力は、人を間違いなくこれからも豊かにする」と明記してくれたと感じました。※違っていたら訂正します。

この本はビジネスマンが読む本かもしれませんが、私は芸術に携わるすべての方にお勧めしたいし、ユニークな身内を持つ家族や、自分は人とうまくなじめないとコンプレックスを抱いている人にも読んでいただきたいと思います。
 

 かくいう私も「人とは違う」ことに強烈な劣等感を持って生きています。人と違うから「天才」として評価されているわけではなく、むしろ「惜しい」と言われたり、「できていない部分を努力するように」促されてきました。

 望まれるように成長できなかったコンプレックスがすごくあります。
 これまで関わってくれた同業者さんやクライアントさんのおかげで、仕事は慌てず動じずに結果を出せるようになってきました。でも治療を終える度に、緊張から激しい疲れが生じて、寝込むことも有りました。正直今でもぐったりしがちです。

 皆と同じように、心身に疲労を重ねることなく、治療技術を磨くことにずっと憧れていました。それが出来ない。指摘されていても出来ない。「ダメな人間でごめんなさい。」とずっと自分にレッテルを張っていました。

 この本でなぜ泣いたか、「生きていてもいいんだ」と思ったか。

『アート思考』で書かれている生き方が、私を励ましてくれたのです。
『アート』を『治療』に置き換えて『アーティスト』を『私』に置き換えたんです。その瞬間に、本から読み取るメッセージ全てが、「あなたは間違っていない!」と励ましてくれているように思ったのです。

アートの本質的な価値とは、見る人の感情や精神を揺さぶり、生きている意味を肯定するもの

アート思考より、191ページから抜粋

いい作品は最低でも10種類ぐらいの異なった解釈が出来るものだ。

いい作品は、常に関わる人によって自由に解釈できる。いくつにも読み込むことができる開かれた構造になっているということなのです。いい作品であれば、さらに、意味は豊かになっていくでしょう

アート思考より、220ページから221ページを一部抜粋加工。

『あなたという存在は、周りの人の感情を刺激し、生きる意味を肯定する』
『人とは違う場合、その言動の解釈は何通りもあるだろう。だけど、それこそが人の魅力だ』

 私の中で都合よく翻訳され解釈されているのは百も承知ですが、多様性を求めながらも苦しんでいる人はたくさんいるのが今の日本です。日本だけではなく、きっと世界中で「そのコミュニティになじめなくて苦しい」人は多くいるでしょう。

 そんな生きづらさを抱えている人こそ、ぜひこの本を手に取って欲しいと感じたのです。

 私のように勝手に解釈しても、決して自分を正当化して世の中に迷惑をかける仕組みは書かれていません。暴挙にはつながらない安心設計です。自分がどう自分らしさを磨き上げていくか、わかる本だと思っています。

 先ほど書いたように、私は周囲の目を気にして、自分の技術にも劣等感を抱きながら生きてきました。
 でも、一方で私を大事にしてくれた場所や時期もたくさん体験しています。 
 特に幼少期に滞在した海外では「異端児」扱いされませんでした。※人種差別は子どもでもありましたが、守ってくれる友人がたくさんいました。この本が語り掛けてくれる言葉は「かつで大事に扱ってくれた人たちが大事にしていた思考」とマッチする気がして、私は泣いたのかもしれません。

 今、人と同じように出来ないことがあって、生きづらさを抱えている人が「自分を励ますために」ぜひ手に取って欲しい。そして、「ユニークな身内を持つ家族」と書きましたが、ユニークさだけでなく、障害もまたしかりだと思っています。それらの程度を問わず、さまざまな特性と共に生きていく人をサポートする方も、励まされたり、立ち止まって考える機会になるかもしれません。

 タイトルに書きましたが、アートの感じ方を磨くと、人の特性を多様性として評価できる人が増える気がしているのです。そして、その視点こそが、人と人との付き合い方にも大事なヒントがあるはずです。

 子育てをしていると、子育ての大変さを「子育ての悩み解決本」とか「症状対応本」とかから探そうとしてしまいますが、そもそもその世界観を大きく飛び出したところにこそ、【真の解決につながるヒント】がある。

そう思ってこの本をご紹介しました。

マルクスガブリエルさんという新進気鋭の哲学者さんの本は、二年前に途中で挫折していました(挟みっぱなしの赤鉛筆が物語っています(笑)。。でも、今なら読めそうな気がしています。

ちなみに、ぐうぜんですが、
私の出張治療の屋号も、このホームページも
Art of Healingです。
アメリカの心臓外科医が書いた本のタイトルから頂きました。ここでもまた、『アート思考』に勝手に励まされておりました(笑)。