東日本大震災後の心のダメージから学ぶ、不安感との付き合いかた

新型コロナウィルスの情報が、SNSやメディア、世間話でも話題に上っています。

先日、私の子どもが学校の先生から聞いた話として、「コロナウィルスは中国が作った殺人兵器」という話をしました。

それを聞いて、私は大きな危機感を感じました。

「この子はこの話を半分本気で信じる。私には、これを打ち消すことが出来るだけの知識がある。だけど、他のご家庭はどうだろう?」

そんな思いと共に私が思い出したのは、震災後何年もたってからもなお、苦しんでおられたクライアントさん達のお顔でした。



2011年の東日本大震災。首都圏をふくめた東日本の方は不安な時間を過ごしました。

直接の被害や苦労をこうむられた方だけでなく、あの日子どもの園バスが待てど待てども来なかったお母さんたち。小さい赤ちゃんを抱えて、一人でニュースを見続けたお母さんたち。

遠く離れた親からの心配の電話で、自分もますます心配になる。

計画停電で右往左往し、スーパーからものがなくなり、次にどのように行動したら良いかもわからない。


やがて災害の記憶が薄れて、多くの人が日常を取り戻していく中でも、誰にも相談できずに不安を抱えているケースがたくさんありました

・子どもが迎えに行けなくなるのがこわいから、数キロ先の買い物に行けない。

・西日本に疎開していた話をしようとすると、固まってしまう。

・精神疲労が重なり、心を落ち着かせる薬が欠かせない。※薬の服用は否定しません。心の傷の深さに注目しました。

もしかしたら家族や近所の方ともトラブルもあったかもしれません。災害は、クライアントさんたちの人間関係も変えました。社会全体からみたら大したことがなくても、一人一人のからだには、深く傷として残っていることを実感しました。

今私が怖いなと思っているのは、コロナウィルスではありません。人が不安感を蓄積することです。

東日本大震災が過去の出来事になったとはいえ、人の記憶には「体験+その時の感情」として残っています。マスクが予防に効果がないと伝えても、「物がない」という記憶が、震災の不安と重なりよみがえるのです。

そして、今まさに小さなお子さんを育ているお母さんたちが、不安を一人で閉じ込めて増やすことも怖いと思っています。

子育ての疲労が重なるなか、「育てている命」の新しいリスクは、不安をあおられます。私は、震災後にそんな家族に起きることを見てきています。今のお母さんたちやそのご家族を長いスパンで見るときに、不安を減らすことは人生の予防医学としても大事です。



この記事は、不安感を抱えやすい人と、今お子さんを育てている保護者の方に向けて書いています。ここからは、安心感に変えていくための情報を書きます。

治療では、どのような症状や悩みごとであっても、事実と感情を分ける作業を行います。

これまでの経験上、分ける作業そのものが安心感を作っていくと感じています。

感情は感情として大事にしながら、一方で「出来ること」にも目を向けて行っていく。

これが、私達人間に備わった、からだの能力です。


「悲しみ」「怒り」「戸惑い」そして「不安」。

この感情は生きるためには、どれも大事なものです。だけど時に人の行動範囲を大きく狭めたり、矛先を変えたりします。

誰にも言えない場合は、そのエネルギーがからだに蓄積して、感情の渦が勝手に大きくなることもあります。そんな仕組みを知るだけでも、不安感を減らしていけます


感情は押し殺せているようでも、実際は形を変えてあふれ出てきます。感情の渦が大きいと、からだがしんどくなります。すると、イライラとして吐き出したくなります。

たとえばこんな経験がありませんか。

「夫が相手にしてくれなかった」
「あの人の行動が無神経だった」
「正しいことを伝えなければ、みんなが大変なことになる」

からだって不思議なもので、肉体的な疲れを「不安」や「不満」と感じることもあります。思春期や生理前のイライラもその一部です。

そう言いたくなる出来事は確かにあります。幻ではない。だけど、 正当化する奥には必ず不安や心の傷があります。

事実と感情を分けていく作業が心を癒すのは、からだの声にも耳を傾けるからだと思います。

事実として「からだが疲れている」場合は、休むことが重要になります。

もしですよ、無理をしてまでママ友や子どもに付き合っていたなら、この先の自分自身の人生と家族のために休みましょう。


子どもに手がかかるのに親にもパートナーにも頼れないなら、支援者の手を借りましょう。

公的なものから、私のような立場まで、色々なサービスがあります。

不思議なもので「頼る」と決めて行動した瞬間から、心が軽くなったり不安感も減ります。信頼できる人に、最初から出会えるかどうかはわかりませんが、あなたが悪いのではありません。相性ってあります。「失敗しても相性いい人を探す」と決めることもまた、不安感を減らしてくれます


個人の経験から言うと、心の問題だけにフォーカスするのはおススメしていません。先ほども書いたように、【 肉体的な疲れを「不安」や「不満」と感じる 】ケースも半分近くあります。←これが見落とされがち。


どうしても自分でやるというならば
・睡眠時間と質
・運動したいのか、休みたいのか
・食べ過ぎていないか←食べ過ぎは想像以上に心身の疲労を作ります
・イライラの奥に隠れている自分の本当にしたい事は何か

これを探っていくとバランスが取れます。



そして予防医学やセルフケアの一環として、強くおすすめするのが【備蓄】です。

マスクは予防には役立ちませんが、この時期は花粉症の方には欠かせないアイテムです。
マスクだけでなく、ないと困るものは、ものがある今のうちにストックを。

これは災害用に備えても役立つものなので、お金の無駄にはなりません。女性は生理用品とあと小さなお子さんがいる場合は、食べなれたお菓子なども、安心感につながります。


そして、情報にアンテナを。
以前新型肺炎を正しく知れる情報サイトの記事を投稿しました。ダイヤモンド・プリンセス号に入り込んだ岩田先生のことは【信頼できる発信をするお一人】として書いています。

その割に岩田先生のことを詳しく書かなかったのは、先生の表現って結構攻撃的だからです。

先生は科学に則った良し悪しの判断が徹底されているので、信頼は高いのですが、今回先生が発信された動画が大問題になりました(個人的には課題のあぶり出しには必要だったと思っています)。

投稿した時点では、岩田先生の言動が大きな一石になるとは思っていもいませんでした。

先生の動画を見て、船から降りた人がきっかけで国内に蔓延すると恐怖を覚えた方もおられるかもしれませんが、今のところ最強の予防策が、常日頃言われている手洗いとうがいと体調管理で合っていると思います。

最後に
不安をあおる人には、たとえ「知ってる?」という軽いノリだったり、あるいは、信念に基づいた正義であっても、あまり良い印象を持っていません。なぜなら気を引く最強アイテムは、相手の不安を刺激することだからです。そして不安って、だいたいがその人自身が感じている不安感の投影です。

これも含めてからだの仕組みです。だからこそ、不安感をいたずらに刺激したくはありませんし、それでも起きちゃうことを自覚して、人に伝えるよう努めたいと思っています。

まとめ
言われたことや効いたことに不安を覚えたら、その情報が事実なのか、感情なのかを分けましょう。
不安感が強い時ほど、【対策が当たり前だとがっかりして、センセーショナルな方法に飛びつきたくなる】のもまた、からだの仕組みです。変な話、「おしっこ飲んだら予防できる!」とかが耳に入ってきてやってみたくなったら、それは自分の中に不安がある証拠です。そして自分に不安があれば「事実」と「感情」にわけて、上の対策を繰り返せばよいと思っています。