ウイルスの専門家による感染予防策(乗り物から日常生活まで)

はじめに なぜ今この記事を書くのか

この記事は大型連休半ば、抗体検査の結果がまだ公表されておらず、安倍首相が緊急事態宣言の延長を示唆した段階で書き始めています。

YouTubeに4月29日に投稿された【【宮沢孝幸×藤井聡】新型コロナ、電車やバス、タクシーは大丈夫なのか?】をシェアします。


私は鍼灸マッサージ師として、からだと心のサポートを行ってきました。治療法は東洋医学がベースですが、自然科学な知識も基準として用います。

新型コロナウイルス感染症については、1月末にこのような記事を書きました。
※その後マスクへの評価は変わりました。これは、この感染症が発症前から人にうつすリスクが考えられるようになり、マスク着用は症状が無くても感染拡大防止に役立つと思ったからです。

これまで注目してきたのは、コロナウイルスの科学的な部分だけでなく、人の行動がどう変わっていくかでした。それは東洋医学には、人のからだを「心と社会と結び付けた学問体系」で見る視点もあるからです。

私自身は子育て中の母です。休校措置の度重なる延期で子ども達をどのようにサポートするか悩んでいます。そしては3月下旬に出張治療を休止し、経営的にもダメージを受けています。

4月7日に緊急事態宣言が出されました。その期限が6日を迫る中延長が示唆されています。学校においても休校の延長措置が取られる可能性が大きく、9月開始という案も出ています。


この間、厚生労働省クラスター対策班の西浦先生が同じ時期に提案した「接触を8割減らす」作戦に基づき、様々な活動を制限してきました。私が知る限り、ほぼすべての方が自分たちなりの努力でこの作戦に協力しています。

でもその作戦に協力するからこそ、自分の基準からはみ出た行動には、怒りや不安を抱いてしまいました。今はどれだけ理性的に生きようとしても、自分とは違う人の行動が目に入り、負の感情が増してしまいます。

「あの人がウイルスを持っていたらばらまかれてしまう」
「収束に向けて早く終わらせたいから協力しているのに、自分勝手な行動をされたら行動制限が長引く!」

これは私も同じです。早く仕事を再開したいし、日常を送りたいからです。実は、出張治療という仕事をしていますが、外出を避け家で作業することはあまり苦ではありません。今の生活は収入源の不安と子どもへの教育機会への不安を除けばそれなりに快適です。

でも、人の言動にはすごく過敏になっている自分にも気づいています。つまりそれは、大なり小なりの「我慢」を私もしているからだと思います。

この先をどうしたら良いか。子どもをこのままのやり方で過ごさせるのか。私の仕事はどうするのか。そして不安感から怒りに変わる感情を止めることはできないのか。


前置きが長くなりました。そんな情報アンテナを張り巡らせていた時に出会った情報の一つが、今回シェアしたYouTube動画です。

この内容を書き起こしてシェアする予定でしたが、書き起こすほどに、この動画は今後の行動を考える貴重な情報なのではないかと感じるようになりました。

そこで今回は私の理解の範囲内ですが、動画内容を中心に、この先私たちが社会活動をするには、どのようなことを理解していればいいのかまとめたいと思います。

注目するべきは、8割減の別の角度からのアプローチです。

私は鍼灸マッサージ師になる前は、微生物の基礎的な学問を大学で学んでいました。基礎はすごく地味で注目されにくいのですが、未知の危機に向き合う時には原点回帰が重要で、基礎にこそ大事な情報があるということを体感しています。

その経験を踏まえたうえで、宮沢先生はウイルスの基本的な話を元にどう行動したら良いかを話しておられることに、とても共感しています。この先、政府からどのような行動指針が出たとしても、この視点はとても貴重だと感じています。

とはいうものの、多くの方がわかるように、科学的な情報も刻一刻と変わります。新しい情報が入ったら、内容を修正するか別の記事に書くか、今の段階ではまだ方向性は決めていませんが、行政の指針も日々変わる中、どなたかの参考になれば幸いです。またこの情報もご自身で判断してくださいね。

投稿のもとになったのはこちらの動画です。動画の方が良い方はこちらをご覧ください。
なおこの記事は、視聴後に内容を再編集した順番で書いてあります。こちらの文責は私、五十嵐個人にあります。

大前提:日本が新型コロナウイルスに取った戦略

①医療崩壊を回避する

新型コロナウイルス感染症専門家会議2月24日資料より

日本が取った戦略は大きく3点です。
①感染スピードを遅くする(患者の増加スピードを抑える)
②その間に医療体制を整える
③流行のピークを下げる

これは日本の医療現場の状況に合わせて、コロナウイルス感染症に適切に対応できることと、コロナウイルス感染症以外のの医療行為を守るための作戦として提案されたと認識しています(法律上の問題もあってこの形ですが、ここでは割愛します)。

つまり医療を崩壊させないために、一度に発症する人を減らすのが、この作戦の大きな出発点です。また、ワクチンや薬の可能性を探す時間稼ぎの部分もあります。

人と人との接触を8割減らす

※結果的には、ここが人の感情を大きく揺さぶる起点だったと思っています。

「このままでは8割減できない」 「8割おじさん」こと西浦博教授が、コロナ拡大阻止でこの数字にこだわる理由

8割接触を減らすことを目指した結果、人に起きた変化

私にはこの理論を評価できる力はありません。ですが、日本の医療体制の実情と最適解を探る視点では、当時の戦略は妥当だと思っています。

一方で西浦先生の理論を推し進めるあまりに、私の中に起きた感情の変化に気づいた時、これは危ない部分もあるなと感じたのです。私は仕事柄人の感情の機微に敏感です。実際にこの前後からSNS上の投稿がかなり攻撃的なものを見るようになりました。そしてその数はどんどん増えていきました。

西浦先生は科学的理論に基づく最適解を提案することで、人の根拠のない振る舞いを律しようとされたはずです。ですが気づいたら、「人が他人の行動を監視し、攻撃する」という状態が起き始めました。これでは、本来の目的が見失われていると思いませんか。

この動画は原点回帰でもあり、新しい考え方でもあります。もちろん正確な理解と行動を伴わないと、再び人の不安をあおる材料になりかねません。なので何度も理解する必要があるし、自分たちで考えることが求められます。

では内容に参ります。

動画で語られていること

コロナウイルス対策で目指すのは「ゼロなのか」「限りなくゼロなのか」

宮沢先生:
感染リスクは色んな考え方があって、ゼロを求めた場合の感染リスクと、ゼロに限りなく近いものでは意味合いが全然違う。

ゼロリスクでは乗り物に乗ってはいけない。

ゼロに限りなく違い場合は、「感染が発生しない=クラスターが発生しない」という意味では可能性が広がる。接触の機会を減らさなくても大丈夫。

そして今の私達に可能なのは「ほぼゼロ」を目指すことである。これが大前提。※動画の終盤の質問でも、ここへの理解が浸透できるかが、この提案のポイントだと感じました。

ウイルスの感染経路とウイルス学的対策

以下、宮沢先生と藤井先生の話をまとめました。

ウイルスの感染には、①接触感染②飛沫感染(飛沫を浴びる)③空気感染がある。(③は②に含める場合もある

①は公共の乗り物に関しては、つり革、手すりを手で触らないように自分で注意すればよい。そして一人一人が口や鼻を触らなければ大丈夫。手によっぽど傷がついていなければ大丈夫。つまり自分の行動で防げる

②マスクを全員がしていれば、マスクから通り抜ける飛沫は少ない。発症しなくてもウイルスを排泄するのが今回の特徴。人にうつすリスクは、感染の初期。末期はわずかながら高い人がいるが、一般的には発症前から発症初期が一番高い。直接の飛沫はマスクで防げる。

③空気感染はあり得るかもしれないが、換気をしておくことで防げる可能性が高い。マスクの間を通り抜けてしまう小さな粒が肺の奥に到達して感染してしまうリスクがある。しかし、一つずつの粒に入っているウイルスはきわめて微量。ちょっとは入ったくらいでは感染は成立しない。

電車と車はこんな対策を

どれだけ密でどれだけ長時間かによるが、①、②、③を行うことで可能性を限りなくゼロにすることは可能。

車でもタクシーでも窓を開けておけば防げる。電車も窓を開けていれば十分。電車であれば、人が少なければ窓を開けても心配しなくても良い。

呼気から出てくるウイルスはそれほど大したことはない。大声やくしゃみとは違う。

山手線の混んだ電車は危ないと言われても、黙っていて換気をして目や口鼻を触らなければ感染のリスクは減る。

麻疹や結核は微量で空気感染する。くしゃみでもすぐに感染するとは思わない。咳がある人は乗ってもらったら困す。でも、咳があってもすぐに感染するとは思えない。

ウイルスを恐れる前に①から③感染のメカニズムを知っておけば大丈夫。

ウイルスと接触することが「感染成立」ではない

1個感染性の粒子があっても感染しない。マウスで全身のウイルス受容体を発現させると超微量でも感染する。

しかし今回は、感染しやすい細胞は肺の奥と喉の奥。特に肺の奥。そこまでウイルスが到達しないといけない。ちょっと鼻についたところで、感染は成立しないはず。

そこまでウイルスが到達しないといけない。接触感染でも確率は低い。その感覚が、感染実験をしている人とそうでない人とで感覚が違う。ウイルスのことを知っていても実務的なことを知っていないと感染がわからない。

ウイルスでも感染の仕方が異なる。

もしコロナウイルスが空気中で感染するのであれば、はしかは基礎再生産数(一人の人間が何人に移すか)が12から16。コロナウイルスは今回は1.4ぐらい。空気感染レベルはないという話。

確かに空気感染したとしか言えないケースもあるが、確率論的には低い。そして今回、確率論的に低いものまでも規制する必要はない。

今回は西浦先生の8割減という明確な目標がある。感染経路が高い感染経路さえブロックしておけば8割減は可能。

西浦先生のコンピューターシミュレーションは、「一人の人がうつす数字が8割減になれば良い。そのために一番シンプルなのは、会う人を8割減らす8割減。」というもの。今回提案したいのは「感染リスクの確率が8割減らされるだけでも大丈夫。人と会う数が同じでも1回会う時に感染する確率を8割減らせばよい。きっちり守れば100%防げる。そのやり方を守れる人が80%いれば普通の生活ができる。」というものです。

宮沢先生:ただし、これで自粛しなくていいんですよと言う話ではない。頭を使えばこんなに窮屈な思いをしなくてもいいですよ。と言う話です。

藤井先生:ウイルスがどういう風に来るかとイメージしたら良い。

乗客の立場でできること

黙る、マスクする、さわらない、換気、しゃべるならマスクして小声

宮沢先生:これを実践すれば感染するとは考えにくい。簡単には感染しない。そんなに簡単に感染するなら、感染実験が楽で楽でたまらない。

運転手さんの立場で気を付けること

宮沢先生:換気、マスク、シールド

自分の手とハンドルをきれいにしていたら、目と口と鼻をさわっても大丈夫

ウイルスが何日持つかという本質的な話

宮沢先生:ウイルスが何日も持つのはおかしな話。2日持つと言っても、同じ感染するウイルス量の話ではない。感染リスクが同じように持続するわけではない。

特殊な実験環境では最初の5分でほとんどなくなっている。でも最後の一つをやっつけるのになぜか60分かかる(この理屈はわからない)。

たとえ1個とか10個あったとしても、感染が成立する値にはならない。ウイルスがゼロになるまで待つ必要はない。常識的に考えて、ウイルスがシートにくっついていたとしても、一昼夜立てば感染リスクはほぼないと考えている。

藤井先生:ワイドショーでコメントする医師は確率は0.1%の話をするが、テレビで言うのは自分の保身のため。そういうコメンテータには騙されないようにする。

0.1%がたとえダメだったとしても、戦略体制には影響がない。

西浦先生は80%を目指している。そしてこのやり方が目指しているのは99%。(限りなくゼロを目指す方法)

質問:公共交通の乗り物に長いこと乗る場合は?

長い時間であっても、換気さえしていればマスクと飛沫でリスクは減らせる。

普通の電車は山手線ならば2分ごとにドアが開く。ぎゅうぎゅう詰めでも黙ってくれたら、理屈上は防げる。もし問題があるとしたら、再生産数はもっと上がる。

質問:バスの方がリスクは低いのか?

宮沢先生:
京都だとバスが混んでいる。怖いっちゃ怖い。バスも窓を開けている。だから同じ注意をする。99%はこの対策が有効。

質問後の宮沢先生の話

僕の言いたいのはゼロではない。99%に落とすのでは、これくらいで大丈夫でしょうと言う話。

皆さんが大きな大きな勘違いをしている。感染がある程度広がらないとこの話は終わらない。ワクチンができない限り。ずっと逃げ回っているわけにはいかない。このやり方は、時間を遅らせるという話です。ここが大きな欠落点になっている。

動画の感想と、子どもの外遊びの注意点・普段気をつけること

コロナウイルスに限らず、以前から「接触と感染は違うんじゃないかな」と思っていたこと、そして買ってきた食材の包装物にコロナウイルスが付着していたらどうしたら良いのか?という疑問に対して、安心できる情報をもらったと感じます。

この情報は乗り物の話だけでなく、私たちの日常全体で気を付ける話だと思いました。

でも、これらをどこまで実践できるかは、個別の事例を考える必要もありそうです。また、根本的にはその0.1%に入りたくないという想いがあるからこそ、人は反応しているわけです。大事な人を守りたいという気持ちとのバランスを問われるわけですから、死生観のような覚悟も必要な気がしました。

また、ウイルスと接触してから感染が成立するまでを防げる方法には何が考えられるか、ということは、鍼灸マッサージ師として今頭を回転させています。なぜなら現段階でワクチンも薬も確立はできていないからです。そして東洋医学は疫病にも向き合ってきた歴史があるからです。

セルフケアや治療に何を提案できるのか。あるいは、仕事を再開するにあたって、何を気をつければよいのか、この情報をもとに再び考えようと思っています。

最後にこちらのツイッターと、宮沢先生の発言をまとめた内容を貼り付けておきます。これは子育て中の方だけでなく、全員がいつでもできる事だと思っています。

経済や政治のことは私もほとんどわかりませんが、科学的な根拠に基づく行動は、西浦先生の「人との接触を8割減らす」こと以外でも可能だと感じます。

皆さんは皆さんの答えを見つけてください。これはまだ、議論が必要な段階です。

お読みくださりありがとうございました。