キックボードとペダル無し自転車の低年齢化にお母さん鍼灸師が思うこと

ベビーカーを使う子どもがキックボード??

私は日常的に人間を観察する癖があるのですが、先日よちよち歩きのお子さんが、キックボードを坂道で使おうとしていて、思わず立ち止まりました。隣には空のベビーカー。ほかに小さい子どもがいないことから、ベビーカーはそのお子さんのだと推測したからです。違和感があったのですが、その理由がいくつも沸き上がり、でも果たして私の老婆心なだけなのか、論理的な根拠があるのか、探ってみたくなったのです。

実は、近年はやっているペダル無しの自転車にも違和感がありました。その自転車も、お勧めしない、というスタンスでこの文章を書き上げます。

①年齢に見合った身体成長は、習得に時間をかけてよい

②股関節を鍛えることはとても大事で、歩行では関節をしなやかに鍛える事に対して、キックボードやペダル無し自転車では、股関節に負荷をかけやすい。

上記の二点以外にも、スピードが出る乗り物は、子どもの判断能力から考えても、安全な乗り物と思えず慎重に使っていただきたいと思っています。

これは、老婆心含めての余計なお世話かもしれません。でも治療家として、股関節は全ての年齢で注意深く見る場所なだけに、伝えたい内容を子育て絡めて書いてみます。

 

 

人間は感覚を統合しながら成長する

先日、発達障害に対してのアプローチ法を学んできました。人間には様々な感覚があり、この感覚を統合していく事が、全ての成長の土台となるそうです。

例えば、なめる・さわる・などの触覚は、使うほどに触覚に関わる神経が刺激され育ちます。また、動くことで力加減を学びながら、細かい動きやダイナミックな運動の仕方を学んでいきます。

 

 

学んだ講座では、子どもの(問題)行動の背景には、子どもの感覚の発達が不十分な可能性があり、感覚の発達を促すことで症状が改善できるという考え方を教わりました。

この観点では、ハイハイ運動は、右脳と左脳の統合発達にとても大事な運動だそうです。就学前後の子どもに対して感覚統合が十分かの目安に、ハイハイ運動をチェックしていました。

私自身も、ハイハイで鍛えられる股関節は、その先の何十年の活動を支えるために大事な場所だと思っています。

 

発達には段階があり、定着には時間がかかる

人間の成長は、とても機能的なステップを踏むのですが、首が座り→座る→ハイハイ→歩行→走る・ジャンプと身体でできる動きが増え、同時に手足の細かい動きを学んでいきます。

余談ですが、上記の行動は、脳にとって【快】な状況で習得されることが大事と講座で教わりました。私自身もセルフケアで【快】を味わる事を大事に提案しています。【快】は次の学習や習得意欲を促します。その観点では、キックボードもペダル無し自転車も【安全な場所で遊ぶ】範囲には楽しい道具であると思っています。

戻します。

人間の成長は、区切りがありません。絶えず次の事を学びながら成長しますが、それまでに習得した事を確実に定着させてもいます。ですから、新しくできる事に目を向ける事も大事なのですが、出来たことを身に付ける事も大事で、これは時間がかかっていることを、もう少しわかって欲しいのです。

 

なお、子どもの成長に伴い学習の問題とも向き合う機会が増えますが、身に付ける(確実にわかる)ようになるには、繰り返し練習をしたり時間をかけたりする必要を、、、、、身をもって体感しています。

 

歩くことは死ぬまでの命題

肢体を自由に使い続けることは、人間活動の重要な指標です。特に股関節は大事な機能です。年配の方の股関節の骨折は、寝たきりになるリスクが高いケガだと実感しています。

 

生まれつきの障害や、不慮の事故などで歩けない場合を除き、股関節の機能を維持していきたいと思って全ての年齢で注意深くみていますが、この股関節運動のスタートが、ハイハイ期そしてよちよち歩きの時期なのです。

歩く能力が不十分な段階で、歩けるからとペダル無しの自転車や、キックボードを用いていると、股関節の機能が十分に育たないのではと、ついつい危惧してしまいます。※ここには科学的な根拠はありませんが、かつてハイハイ期に歩行器に乗せるのが流行り、その行為が否定されたことがあります。知育道具や発達を促す道具の変遷を思うと、つい老婆心ながら気にしている自分がいるのも事実です。

バランスを育てたいなら、危険察知能力や、身体の調整能力など、総合的に育ててあげたくなるのです。そして、ハイハイ運動や歩くことが股関節をしなやかに柔らかく育てるのに対して、キックボードもペダル無し自転車も、股関節周りの筋肉を突っ張らせる動作が多いと感じます。突っ張ると、関節が固まります。けがをしやすい使い方を身に付けるリスクがあるとも思っています。

 

では、いつから用いるかというと、キックボードや自転車は、運動神経の発達が速いお子さんだと年少さんごろから用いるのもあるのかなと思います。でも個人差があると思っています。

 

子育てを長期的に考える事が大切

今から10年以上前に、上の子どもを遊ばせていた時のこと。「あの子に寝返りを負けたから、早くハイハイさせる」とつぶやかれたお母さんに出会い、ビビりました。当時(そして今も)私は決して子育てに自信がある母親ではなく、むしろ、ダメ親の烙印を押していましたが、子どもの成長速度は大人の満足を満たす手段であってはならないと感じました。※もちろん、運動会の徒競走で順位は気になりますし、成績にも子どもよりも一喜一憂しています。←ここは本音です、はい。

 

臨床経験から、目の前に出来る事をめざすあまりに長期的な視点が持てなくなると、親子ともに苦しくなりやすいと感じています。何よりも【快】という経験が積み重ならないのは、もったいないです。大人にとっても、競争で得られる快感を子どもに押し付ける事は、【快】を得られる可能性ももちろんあるのですが、子どもが思い通りにならない時に、想像を超える苦痛になりやすいと思っています。そして、この苦痛を開放することこそが、子育ての悩みの肝でもあるのです。

たかがキックボードの光景だったのですが、親ならではの想いまでを想像すると、違和感だけでなく、共感も抱きます。それでも、できれば、子どもの発達に見合った道具と体験を促したいと思いました。

 

五十嵐 いつえ

 


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